Commemorative Speech by Professor Hans Vliegenthart
2011年10月8日〜11日の4日間、名古屋大学医学部において、糖鎖生物学 日蘭Joint Seminar 2011 が開催されました。この Join Seminar は、2000年に日蘭交流400年を記念して東京において開催され、引き続いて2005年に、Utrecht において2回目が開催されました。今回は、日本側の世話人として、名古屋大学医学部の古川、オランダ側がUtrecht 大学のHans Vliegenthart教授が務めました。当初は東京での開催を予定していましたが、3月11日に東日本大震災が起こって、東京での開催に不安が生じたため、名古屋に変更されました。オランダからの参加者10人(全員が講演者)と、日本からはシンポジスト(プレナリーを含む)15人とadvisory member として9人の先生方にご参加いただきました。advisory memberの先生方には座長およびchairman review をお願い致しました。さらに、若い研究者を中心に、一般研究者の参加もよびかけた結果、全体で80数名の参加者が得られ、盛況のうちに幕を閉じることができました。
前回はゲノム計画が丁度一段落しつつあった時期で、あたらしい糖転移酵素遺伝子やノックアウトマウスの解析、新規糖鎖合成法の開発が中心テーマでしたが、今回のセミナーでは、メインのテーマを「Carbohydrate in health and diseases」と位置づけることによって、糖鎖機能の具体的な発現機構や、様々な疾患、病態における糖鎖の関与を中心に討論が行われました。
8日には、受付けの後、最初に世話人の古川鋼一から、今回のMeeting に至った経過説明と、日蘭学術交流の歴史的な足跡を紹介しました。抄録集の表紙に掲載した「リーフデ号」および「あじさい(Hydrangea otaksa)」の意味を披露させていただきました。次いで、Hans Vliegenthart教授から、日蘭間の糖鎖科学の交流と共同研究に関してのCommemorative Lecture をしていただきました。引き続いてプレナリー講演に進んでいき、第1日を終えました。3〜4日目は会場を移して実施しました。
1.プレナリーレクチャー4名の講演は以下の通りです。
- Hans Aerts (University of Amsterdam):Studies on Gaucher disease: ultrasensitive visualization of beta-glucosidases with activity-based probes.
- Yasuhiro Kajiwara (Osaka University):Approaches for the elucidation of oligosaccharide functions using the chemically synthesized homogeneous glycoproteins.
- Hans Vliegenthart (Utrecht University):The Manα1-Trp linkage revisited.
- Taroh Kinoshita (Osaka University):Mechanisms for the processing of GPI-anchors.
2.一般講演は25題ありましたが、これを9個のセッションに分けて活発な討論を行いました。9個のセッションのタイトルは、以下の通りです。
「Biology of sugar modification」「Synthesis of functional carbohydrates」「Glycosylation in molecular functions」「Glycosylation and pathogenesis」「Progress in structure analysis」「Carbohydrates in pathogenic microorganisms」「Carbohydrate-protein- hosts」「Interaction between hosts and pathogenic organisms」「Carbohydrate functions on cell membrane」。
これらの演題名から示唆されることは、これまでになく炎症や感染症の比率が高いことでした。また、合成糖鎖の機能解析への応用や網羅的な発現、構造解析の発表も多く、今後の糖鎖科学の発展にとって重要な礎になるものと思われました。
3日目にはexcursion ということで、バスを借り切って徳川園と名古屋城見学に出かけました。オランダ人はもとより、日本人の老若男女にもたくさんのご参加をいただき、雰囲気を盛り上げていただきました。
遅ればせながら、本Joint Meeting は、JSPS (日本学術振興会)とNWO (Nederlandse Organisatie voor Wetenschappelijk Onderzoek)のサポートによる二国間交流事業として開催されました。また、会の円滑な運営のために、内藤財団および水谷糖質科学財団から貴重なご支援をいただきましたことをご報告し深く感謝申し上げます。また、発案段階で音頭をとっていただきました永井克孝先生、当初、オランダ側の代表であったvan Meer Gerrit先生がご都合で参加いただけなかったことは非常に残念でした。さらに、前回のUtrechtにおけるJoint Meeting において日蘭の学術交流の歴史についてご紹介いただいた芝哲夫先生がお亡くなりになりましたこと、非常に残念でした。あらためてご冥福をお祈り申し上げます。
今回のJoint Meeting における交流の成果の上に、また第4回のMeeting が実現できますように、参加者全員が誓いながら会を閉じさせていただきました。
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